ガロア理論と有限体
体の代数拡大と、その自己同型のなす群(ガロア群)の対応を調べる理論。クラスタの中でも最も厚く書かれているテーマで、有限次から無限次(副有限群を経由)まで一貫した道具立てになっている。
体と体拡大
可換環に加え、零でない全ての元が乗法逆元を持つものが体。体準同型は必ず単射で、素体 上の自己同型は恒等のみ。 を体拡大 と書く。代表例 。
- 代数拡大: の任意の元が 係数方程式の解になる。
- 分離拡大: 各元の最小多項式 が重根を持たない(標数 0 の体・有限体は常に分離的)。
- 正規拡大: 上の最小多項式の根がすべて に入る。 は正規だが は なので非正規。
ガロア拡大と基本定理
分離かつ正規な拡大がガロア拡大で、このとき 。ガロア群 は を固定する の自己同型のなす群。ガロアの基本定理は、中間体の全体 と部分群の全体 の間に、包含を逆転する一対一対応
を与える。部分群 の不変体 をとると はガロアで群は 。方程式の可解性は対応するガロア群の可解性に翻訳される。
有限体とフロベニウス写像
、要素数 の体は同型を除き一意()で、( は 次既約)として構成できる。乗法群 は巡回群(原始根の存在)。。
フロベニウス写像 は により体同型(非自明な自己同型)になる。これが有限体のガロア群を生成し、
絶対ガロア群と無限次への一般化
代数閉包 に対する が絶対ガロア群 。有限体の場合
となる。無限次拡大では基本定理の素朴な対応が崩れる(部分群の方が多い)ため、Krull 位相を入れて閉部分群だけに制限すると全単射が回復する。この位相の正体が副有限群であり、フロベニウスの整数論的応用(ヴァイユ予想・エタールコホモロジー)へ繋がる。