準同型暗号 (FHE)

暗号文のまま加算・乗算を評価でき、復号すると平文に同じ演算を施した結果が得られる暗号。秘密計算(secure-multiparty-computation、TEE と並ぶ三本柱)の中核技術で、クラウドにデータを渡さず計算を委譲できる。

スキームの系譜

  • SHE / Leveled HE: 評価のたびにノイズが増え、回路の深さに上限がある。乗算の乗法的深さが消費を支配する。
  • FHE: ノイズをリセットするbootstrappingを備え、任意深さの回路を評価できる。
世代スキーム基盤
2009Gentry schemeイデアル格子。世界初の FHE
2010DGHV近似 GCD(整数上)
2011BV schemeLWE、modulus switching
2012- BFVRLWE、整数 SIMD
2013GSWeval key 不要
2016-CKKSRLWE、近似(固定小数点)
2016-CGGItorus、高速 bootstrap

LTV/YASHE は NTRU ベースだが安全性問題で廃れた。Functional Encryption や indistinguishability Obfuscation との理論的関係も研究対象。

共通する技術要素

  • 基盤問題: ほとんどが格子上の LWE / Ring-LWE の困難性に依拠。耐量子性を持つ。
  • ノイズ管理: 乗算でノイズが急増。CKKS の rescale、BGV/BFV の modulus switching で modulus chain を降りながら抑える。
  • relinearize: 乗算で 3 成分に増えた暗号文を 2 成分へ戻す key-switching。
  • SIMD / batching: CRT エンコードで 個の値を 1 暗号文に詰め、回転鍵で slot を巡回シフトする。

応用とエコシステム

参考: 早稲田大 山名研、筑波大 西出研などが国内の主な研究拠点。

関連クラスタ: _moc-crypto