準同型暗号コンパイラ研究(修論計画)

著者の大学院での研究テーマ。平文のプログラムを、より汎用的かつ効率的な準同型暗号(HE)上のプログラムへ自動変換するコンパイラの研究。一般概念は fhe-compiler / fully-homomorphic-encryption を参照。

問題設定

準同型暗号は暗号化したまま加算・乗算に相当する計算ができる暗号で、秘密計算を実現する一技術。浮動小数点ベクトルを平文とするスキーム(CKKS方式など)では、ベクトルの要素和・要素積・巡回シフトという限られた演算しかできない。そのため既存アルゴリズムを HE 上の効率的なプログラムへ移植するには手動変換の労力がかかる。これを自動化するのが準同型暗号コンパイラ

アプローチと先行研究

  • 線形演算は表現できるが、非線形評価や分岐は、線形関数への近似(polynomial approximation)や別スキームへの暗号文変換(FHE Bridge)で対応する。
  • 先行研究: 論理ソルバで構成可能なプログラムを探索するコンパイラ、内積など集約演算を効率化するコンパイラ、EVA Compiler など。
  • 本研究は多重ループや条件分岐を含むより複雑なプログラムの効率的変換を目指す。for文と添字アクセスの fhe-readying & ベクトル化が鍵。

関連する回路概念

  • Fanout Free Cone (FFC): 共通のドミネータ を持つゲート集合が構成する、 を出口(根)とする連結部分回路。FFC外からFFC内へファンアウトするゲートを葉と呼び、葉の要素数をサイズとする。回路分割・最適化に用いる。
  • 存在的定量化回路 (EQC): ステートレス・非一様・非決定論的計算を表す回路モデル。

計画

CKKS方式シミュレータ作成(ノイズ・計算量・計算グラフの評価)を起点に、言語インターフェース実装、Multi CPU/GPU でのスケールする FHE 計算、テンソル演算特化 FHE による秘密機械学習を見据える。年間計画は実装・実験 → ポスター発表 → SCIS 等国内学会発表 → 修論。

関連: _moc-misc-other / multiplicative-depth-and-circuit-optimization