数理論理学
論理式の証明体系と、その意味論・拡張を扱う分野。命題論理を出発点に、様相・時制・線形などの非古典論理、そしてSMT ソルバへ広がる。
論理の分類
- 古典論理: 命題論理 / 述語論理
- 非古典論理:
- 直観主義論理(排中律なし、構成的)
- 様相論理(可能性・必然性)→ 時制論理(時間)
- 多値論理(ternary logic、ファジー論理)
- 線形論理(資源の概念)
命題論理と自然演繹
、(iff)、(トートロジー)を使う。自然演繹体系 NK は の導入・除去規則と二重否定除去からなり、終論理式 の証明があれば (証明可能)。
- 健全性: 証明可能な論理式は全てトートロジー
- 完全性: 全てのトートロジーは証明可能
NK は健全かつ完全。古典論理は LK(シーケント計算)として整理される。証明図は前提を上、結論を下に書く木構造で表す。
直観主義
数学的対象は構成的手続きで存在を示さねばならず、背理法を認めない。「具体的な計算(プログラム)が証明になる」という Curry–Howard 的な見方に繋がる。
様相・時制・線形論理
- 様相論理 K: (必然的に A)、(可能)。古典体系 LK に必然化規則を追加。
- 時制論理 Kt: 過去 ・未来 に細分化。
- 線形論理: 「110 円でコーラとチョコのどちらも買える(&)」と「両方同時に買える()」を区別し、含意を で表す。限りあるリソースを表現でき、並行分離論理(Iris/RustBelt の基盤)など並行プログラム検証に使われる。
余談
ヘンペルのカラス(「全てのカラスは黒い」「黒くないものはカラスでない」)のような確証のパラドクスも論理学的話題。
関連: computability-theory / mathematical-logic / _moc-math
公理的集合論と基礎論
数学全体を集合の言葉で基礎づける公理系と、そこから導かれる独立性・順序構造の話題。
ZF と ZFC
ZF 公理系は一般的に使われる公理系で、述語のドメインは類(class)(すべての集合を集めたもの)。主な公理:
- 外延性(含む元が全て等しい集合は等しい)
- 空集合・無限集合の存在
- 対・和・冪・置換(既存の集合から新しい集合を作る)
- 正則性(パラドクス回避)
これに選択公理を加えたものが ZFC。選択公理は「空でない集合族から各々一つずつ選んで集合を作れる」= 。
選択公理と同値な命題
- Zornの補題:全順序部分集合が常に上界を持つ順序集合(Zorn集合)には極大元が存在する。極大元を持たないと仮定して矛盾を導く形で証明する。
- 整列可能定理
これらは選択公理と同値で、代数閉包の存在など多くの存在証明の根拠になる。
独立性
連続体仮説は「可算濃度と連続体濃度の間に他の濃度が無い」とする主張で、ZFC からは証明も反証もできない(公理系から独立)。宇宙(Grothendieck universe)はサイズの問題を回避するための大きな集合の枠組み。
順序構造と測度
- 順序集合を図示するハッセ図、join で閉じた join semilattice など順序理論の道具。
- 可測空間( 加法族)と測度は確率の基礎であり、確率論・ベイズ統計へ接続する。